2004年よりスタートした、多彩なアーティストのライヴ・ステージによるヤマハアコースティックギターの祭典<Yamaha Acoustic Mind>が今年も開催された。今年は、“7 Circuit(セブンサーキット)”と銘打って、全国7都市を巡るツアーとして展開されることとなった。残念ながら広島と福岡の2公演は中止となったものの、残りの仙台、札幌、東京、名古屋、大阪の5公演は予定通り開催された。
今回もISEKIが総合プロデューサーとして全公演に出演し、大石昌良、岸洋佑、さくらしめじ、中田裕二といったゲストを公演ごとに組み合わせる形で展開された。ここからは大石昌良と岸洋佑が出演した2021年10月10日の大手町三井ホールでの東京公演の模様をレポートしよう。
まずは3人によるセッションでキマグレンの「LIFE」を披露し、冒頭にふさわしいアップテンポのリズムで会場を盛り上げた。その後はそれぞれのソロ・コーナーで、まずISEKIがトップを務め、長年使用しているLシリーズとガット・ギターを使い分けて、最新シングル「reflection」から「波音が聴こえる」「約束の丘」「太陽と曇り空」といった味わい深い楽曲を歌い上げた。
続いては岸洋佑が登場、尾崎豊の「僕が僕であるために」のカバー、「シズク」「バカ」「明日」といったロック・ナンバーやバラードでは力強いギター・プレイと情熱的な歌声で観客を魅了した。岸のコーナーの最後にはISEKIが加わり、ISEKIが井上陽水、岸が玉置浩二のパートを担って『夏の終りのハーモニー』を演奏。モノマネっぽい歌唱で場内を和ませつつも、二人の見事なコーラスからはこの楽曲への熱いリスペクトが伝わってきた。
ソロ・パートのトリを務めた大石昌良は、それまでのしっとりとしたムードをガラッと変えて、トランペットを模したボイス・パフォーマンスからスキャット、流麗なギター・ソロを次々と繰り出す「ピエロ」に始まり、「ミスター」「パラレルワールド」「ボーダーライン」「ただいま」と、巧みなギターと伸びやかな歌声でジャズやディスコ、ポップス、バラードまでバラエティ豊かな楽曲を披露した。
最後に再び3人でのセッションでは「ようこそジャパリパークへ」、そしてアンコールのサザンオールスターズの「真夏の果実」で幕を閉じた。
三者三様の弾き語りパフォーマンスの素晴らしさはもちろんのこと、彼らの歌声を支えるヤマハアコースティックギターのポテンシャルと豊かな表現力を体感できた一夜となった。
Text by TOSHIHIRO KAKUTA
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