言わずもがなブッチ・トラックスの甥であり、現在のギターシーンにおいて抜群の存在感を放っているデレク・トラックス、そしてその奥方であるスーザン・テデスキを擁するTedeschi Trucks Bandは管楽器、コーラス隊も含む大所帯バンドだ。昨年はデレク、スーザンが敬愛するエリック・クラプトンらによるデレク・アンド・ドミノス、1970年歴史的名盤『いとしのレイラ』をカヴァー。トレイ・アナスタシオ(フィッシュ)、さらにドイル・ブラムホール2世も迎えたライヴ盤『レイラ・リヴィジテッド』として発表されたのも記憶に新しい。
デレク・トラックスの名前がデレク・アンド・ドミノスから名付けられたのもファンには有名なエピソードである。なおPlayer2021年8月号は“我が青春の『いとしのレイラ』”と題して、『LAYLA REVISITED(Live at LOCKN’)』『Layla and Other Assorted Love Songs』の2枚を徹底比較、デレク・トラックスのロングインタビューとともに、エリック・クラプトンが語った『レイラ』など、資料価値たっぷりのテキスト満載の表紙、巻頭特集をお送りした。
ところで、「いとしのレイラ」の着想となったザーミー・ギャンジャヴィーの叙事詩『ライラとマジュヌーン』。デレクもテデスキも『ライラとマジュヌーン』に大いに魅せられたようだが、『レイラ・リヴィジテッド』を制作しただけで話は終わらなかった。2022年6月よりテデスキ・トラックス・バンドは『アイ・アム・ザ・ムーン』というアルバムを毎月連続リリースし続けている! これがとにかく聴き応えがある!
7月末時点で『I.クレッセント』『II.アセンション』『III.ザ・フォール』の3作を発表。8月26日には4部作の最終作『IV. フェアウェル』がConcord Records / ユニバーサル ミュージックよりリリースされる。 テデスキ・トラックス・バンドならではのルーツミュージックに根ざしつつもドラマティックでゴージャスなバンドサウンドと、相変わらず多彩かつ抜群のグルーヴ、テデスキのソウルフルでハスキーなヴォーカル、デレクのエモーショナルなSGを筆頭とするトーンが存分に味わえる仕上がり。現時点で発表されている映像とともに堪能するとよりイマジネーションが広がるのだ。
実は『アイ・アム・ザ・ムーン』は先述の『ライラとマジュヌーン』の着想から生まれた連作であり、なぜ4部作というプロジェクトになったのか? 音楽ライターの山崎智之氏が昨年に続きデレク・トラックスに取材、山崎氏ならではのかなり掘り下げたインタビューは1万字に及ぶものとなった。山崎氏による『アイ・アム・ザ・ムーン』の概要及びデレクのインタビューの一部がYAHOO! JAPAN内にアップおり、これだけでも相当な読み応え! ぜひご一読いただきたい。
なお、デレクの1万字に及んだロングインタビューの全貌は9月2日発売Player2022年Autumn号で全文掲載されるので楽しみにしてほしい。なお、この号はエリック・クラプトンやTOTOの特集記事も予定しており、洋楽メインの往年のPlayerが蘇った内容となりそうだ。
テデスキ・トラックス・バンド
アイ・アム・ザ・ムーン: I. クレッセント
Concord Records / ユニバーサル ミュージック
SHM-CD UCCO-1235 6月3日 2,860円 (税込)
アイ・アム・ザ・ムーン: II. アセンション
Concord Records / ユニバーサル ミュージック
SHM-CD UCCO-1236 7月1日 2,860円 (税込)
アイ・アム・ザ・ムーン: III. ザ・フォール
Concord Records / ユニバーサル ミュージック
SHM-CD UCCO-1237 7月29日 2,860円 (税込)
アイ・アム・ザ・ムーン: IV. フェアウェル
Concord Records / ユニバーサル ミュージック
SHM-CD UCCO-1237 8月26日 2,860円 (税込)