3の倍数月2日発売の季刊音楽誌『Player』のウェブサイト。最新号情報はもとより、誌面でできない音楽、楽器情報を発信していきます。

SPECIAL OTHERS インタビュー「飽きたり煮詰まったりしたら機材を1個買えば大体解決するよね(笑)」

発売になったばかりのPlayer最新号は『Player SPECIAL July Issue -ニッポンのクロスオーバー-』、こんなタイトルならこの方々にお話を聞かないわけにはいかない!とSPECIAL OTHERSメンバー全員にご登場いただきました。自分たちのスタジオを構えてからケーブルや電源タップへの研究が止まらず、ゆえにそんなお話が止まらずで最新アルバム『Anniversary』(6/8リリース)のお話になかなか進まないほど(笑)でしたが、話をすればするほど音へのこだわりと情熱が深い上に、人柄も素敵な4人の集まりだなと感じています。そんな部分も伝わる誌面も是非お読みいただきつつ、未掲載のお話をこちらでお楽しみください!

“売ってるぞ! 芹澤に買わせよう!”

   バンドを組んで音楽の指向性の変遷を経てインストの方向性で行く、と決めてから、初期スペアザの頃の機材って何でしたか?
宮原”TOYIN”良太(d):バーとかで演奏することが多かったので、コンパクトになる小ちゃめのREMOでした、REMOがドラムセットも作ってる時があって。それとイスタンブールっていう会社のシンバルを買って。
芹澤”REMI”優真(key):僕は、ハモンドのXB-5っていうコンボオルガンを買ったのが最初です。
   オフィシャルHPに“当時、二十歳の芹澤に無理矢理ローンでオルガンを買わせた”旨の表記がありますね?
芹澤:その通りで、ただの圧力で強制以外の何物でもなく。まずオルガンというものを知る前にオルガンを買ってます(一同笑)。
柳下”DAYO”武史(g):俺と良太で楽器屋さんに行ったら中古が売ってて。
宮原:“売ってるぞ!芹澤に買わせよう!”って電話して(笑)。でも電話したらすぐ原チャリで来たよね?
芹澤:それはたまたま近くにいたからです(笑)。当時、アルバイトの収入からしても高いものだったしローンを組んで、何とかして覚えないと、ってしばらく使いましたね。
柳下:僕は99年のフジロックで見たフィッシュとかソウライヴっていうオルガン・トリオのバンド、2つとも箱物のギターを使ってたのでそれに憧れて、スタッフォードのセミアコギターを買いました。
   柳下さんといえばこのギター、というギブソンES-175は?
柳下:スタッフォードの次が今のそのギターかもしれない、ですね。23歳から使ってるので。
芹澤:すごいよな、ES-175は今、骨董品みたいになってる。
柳下:ES-175は2本持ってて1本が現行品でスペアみたいな感じですけど、メインで使ってる方は54年のものでヴィンテージで替えが利かないっていう感じで。俺が使い始めて20年近いし、作られてから70年ぐらい経っているので大切にしないとなぁ、って。
   横浜で見つけたのですか?
柳下:そうですね、それこそ芹澤がオルガンを買った店と同じイシバシ楽器横浜店です(笑)。値札のところに“一生ものにいかがですか?”って買いてあって、その時“一生もの”って言葉にもビンビン来ちゃったんですよね。
又吉”SEGUN”優也(b):僕は高校の時に買ったフェルナンデスからワーウィックに代わって、フィッシュとかも聞き始めてる頃にニューヨークのMMW(メデスキ、マーティン・アンド・ウッド)のベースの方がウッドベースを使ってて、カッコいいなと思ってウッドベースを買いに行きました。だからスペアザ初期はウッドベースをしばらく使ってたんですけど、ライブハウスで音のハウリングが制御できなくてすごく悩んでたんですよね。
  搬入も大変ですしね。
又吉:大変でした、それで持ち運びも楽だと思ってアップライトにしたんですよね。本当はウッドベースは良いんですけどね。

7月5日発売「Player SPECIAL July Issue -ニッポンのクロスオーバー」にSPECIAL OTHERSのロングインタビュー掲載!

スペアザの曲作りのヒミツ?

   ソロプレイの後の展開で、ベースラインがそれまでよりハイポジションに行ったりするのが特徴的ですが、ああいうのってちゃんと構成として決めてるんですか?
宮原:ベースをオクターブ上にすると大体、展開感が出るんですよね。結構、スペアザの曲を作る時の隠し味・1みたいな感じでよく使うテクニックです。
芹澤:これもWIREとかのクラブカルチャーの、DJがやる手法から来てると思うんですよね。ローをカットして無音が2拍ぐらいあって、ローをドンと出す、っていう。で、繰り返しのフレーズがあるけど、繰り返しのベースラインだけ差し変わるとか。完全に10代の頃のテクノ・ハウスからの影響と恩恵ですね。
宮原:ありものの組み合わせを変えていって曲を作ることが多いのも、クラブっぽいっちゃクラブっぽいですね。
柳下:フレーズとか考える時もジャザノヴァやベースメント・ジャックスとか、“一音しか変わってないけどメッチャ気持ち良くなってる”とか、ね。
芹澤:スティーヴ・ライヒが完全に、ポリリズムとポリリズムを組み合わせて面白いフレーズを作っていくっていうのをやっていてミニマル・ミュージックの元祖って言われてるんですけど、究極を言うとその人から影響を受けてたりとか。
 皆さんすごく色んな音楽もジャンルも好きなのが本誌インタビューでも随所に出てましたけど、最近はつんのめるようなリズムだったりごちゃごちゃなクロスオーバーの時代でヒップホップとジャズが結びついたりもしている流れの中でスペアザは音色の像はそんなに変わってないというのはユニークで、日本の音楽シーンではそういうバンドがいないような気がするんですよね。
宮原:あぁ、そうですね!あんまりいないかもしれないですね、海外には結構いますけど不思議ですね。だからありがたいです、応援してくれている方の存在が。
芹澤:ただただリスペクトある色んな音楽の要素を吸収して、それを何とか自分たちなりに表現をしていて。
宮原:先人から学んでばっかりです。
芹澤:もちろん若手のバンドも聞いたりしてますけど、俺たちの時と比べてはるかに演奏能力が高いし俺らの頃にこんなのがいたらスゲー!ってなってたバンドがゴロゴロいるなと思うんですよね、今。すごいな、叶わないなって思うことが多々あるんですけど、もう良いや、っていう思いにもなるんです。自分たちは自分たちだ、って。例えば時代が一方向を向いていたらそことは距離を取りたいあまのじゃくなところがあって、それが結果論として自分たちっぽくなるのかな、って。
 音楽をやっていて煮詰まったりとか、そういうことはないですか?
柳下:そもそもこのバンドの成り立ち自体が“こういう音楽をやろう!”って集まったわけではなくて、友達だからっていうのがそもそもの原点にあって。言ってしまえばインストバンドをやろう、なんて口にしたことも多分一度もないし今でも皆で音を出して遊んでる、という感覚で続いてるので、どういう音楽性でやっていこうかっていうのも特になく飽きたらちょっと曲を変えたり、だから煮詰まったりとかそういう発想もないんですよね。思いついたことをただやっている、っていう。
芹澤:飽きたり煮詰まったりしたら機材を1個買えば大体解決するよね(笑)。
柳下:そう、ずっとやってたら飽きることはあるんですけど、その時は何か変化を入れれば楽しくなるっていう。
芹澤:最高だから皆、やれば良いのにって思っちゃいますけどね(一同笑)。
   みんなスペアザみたいになりたい、けど、なれないんですよ。
芹澤:俺らは恵まれたんだと思います、人や縁とか、タイミングと運が良かったから、自由気ままに活動させてもらえてるんだな、と。
   でもそれも皆さんの人柄が呼び寄せているところもあるような気が、お話をしながらすごく思いました。
宮原:そうでしょうか、だったらそれはありがたいです。

Interview by CHIE TAKAHASHI

『Anniversary』
SPEEDSTAR RECORDS  6月8日
初回限定盤CD+DVD VIZL-2004 6,380円(税込)
通常盤CD VICL-65655 3,300円(税込)

【SPECIAL OTHERS “Anniversary” Release Tour 2022】

8月11日(木・祝)日比谷野外大音楽堂
10月9日(日)新潟LOTS
10月13日(木)札幌ペニーレーン24
10月15日(土)青森Quarter
10月16日(日)仙台Rensa
10月22日(土)福岡DRUM LOGOS
10月23日(日)岡山YEBISU YA PRO
11月5日(土)金沢EIGHT HALL
11月6日(日)長野CLUB JUNKBOX
11月11日(金)味園ユニバース
11月19日(土)名古屋クラブクアトロ
11月20日(日) Live House浜松窓枠
11月26日(土)沖縄桜坂セントラル

チケット7月16日(土)発売 4,500円(税込、整理番号付、ドリンク代別) ※日比谷野外大音楽堂のみ 指定席 5,500円(税込)

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