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SHAG『THE PROTEST JAM』ディスクレビュー

『THE PROTEST JAM』ディスクレビュー
圧巻のライブとレコーディングマジックが生んだ
衝撃のジャムバンドサウンド

7月1日 SHM-CD SPTC-1011 3,300円(税込)

1.ANTI-WAR Ⅰ 2.THE CAGE 3.Initiation of Rebellion 4.FATIMA 5.Rebellmusik 6.Round Midnight 7.Jam in the Plandemic 8.ANTI-WAR Ⅱ

冒頭SUGIZOによる激しいギターのフィードバックを合図にベース、ドラム、オルガン、パーカッションの音の洪水、類家心平のディレイがかったトランペットが響きわたる。やがて松浦千昇によるドラムビートとKenKenによるブリブリのベースが突っ走り、再び上もの楽器が重なった先で、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「アイ・ショット・ザ・シェリフ」のフレーズも彷彿とさせるようなリフで各自が暴れ回るのが、「ANTI-WAR I」における『THE PROTEST JAM』のオープニングだ。その爆音の洪水にはキング・クリムゾンも思い起こす。よしうらけんじのシェイカーやチャスチャスが響く中、別所和洋のオルガンの音色だけが延びているのだが、SUGIZOのドライヴィンなカッティングリフが中央から飛び出す…SUGIZOのファンにはおなじみの「THE CAGE」のギターリフだ! 皮もの主体のよしうらけんじのプレイと軽快なピッチのスネア、タムタムフィルも豪快に織り交ぜた千昇のドラミング、巧みにハイポジションにも行きながら、休符も加味して泳ぎまわるKenKenのベースプレイにも耳がいく。右トラックでは類家のワウを絡めたトランペットも…実際に何度か観たライブシーンが脳裏に蘇りつつ、各自のプレイを堪能するわけだが、残響感たっぷりの別所のローズピアノとSUGIZOのギター、類家のトランペットが三つ巴になる後半がスリリング! 個人的にはポップグループ『Y(最後の警告)』にも通じるような暴力的なファンキーさ感じた。終盤に飛び出す別所の生ピアノによるジャジーなプレイも目を見張る。

「Initiation of Rebellion」ではムードが一転、一音でSUGIZOとわかる白玉が左右に揺れる音像に、Dub Master Xのダブ処理によるドラムサウンド、よしうらのパーカションの残響感が美しい。KenKenのベースが実によく歌っていて、左トラックで収縮と膨張を繰り返すような別所のローズの音色、複数吹いているかのようなトランペットのディレイ感も印象的。KenKenの音数が増えると共に演奏も激しくなっていき、左右ツインドラム的なアプローチを見せる千昇、よしうらの絡みも聴きどころ。終盤、ワウを絡めたSUGIZOのギターソロが縦横無尽に暴れまくるのにもニヤリ。クリーンから歪み、モジュレーション系まで多彩なギタートーンが味わえる。


SUGIZOのエレクトリック・ヴァイオリン、別所のローズバッキングが導入部となる「FATIMA」は、KenKenは手数を抑えたバッキングながらも、巧みなオブリガードを行き来する見事なベースプレイ。そしてドラム、パーカッションによる16ビートフィーリングが、サンタナなども彷彿させるラテンロック〜王道クロスオーバーの解釈もある名演だ。類家のトランペットソロ、ギターにも持ち替えてのSUGIZOのソロ、KenKenの超絶ソロも聴きどころだが、なんと言っても感動的なのは別所の生ピアノソロが炸裂する終盤! 特に別所のピアノが合図となって一気に転調、テーマメロディに戻るスリリングさはつい聴き返してしまう名シーンである。

変拍子のノリで透明感ある音像が美しい「Rebellmusik」。千昇のドラムに呼応するよしうらのパーカッションをバックに、重厚でおおらかな類家のトランペット、特にハコモノならではのトーンが堪能できるSUGIZOのギター、切れ味たっぷりの別所の生ピアノが見事である。特に“音を抜く”方向で味付けしていく個々のプレイアプローチが光っているのだが、後半の類家のソロでドラムが4分打ちビートになると、よりダンサブルに表情を変えていく展開がたまらない…!

「Round Midnight」はSUGIZOのクリーントーンのギター、別所のローズをバックに、類家のリップと息遣いの生々しさで迫ってくるトランペットが凄まじい。SUGIZOによるテーマを経て、バンドサウンド入ってくる終盤のカオスな音の洪水は、良質なオーディオシステムで聴くとその立体感に驚くはず。

KenKenの地を這うようなベースのロー感と、Dub Master Xのダブ処理が凄まじいのが「Jam in the Plandemic」である。『THE PROTEST JAM』の中でも最もインプロヴィゼーションが押し出されたように聴こえる濃厚セッションで、少々レゲエっぽいノリも加味されている。千昇、よしうらによるソロの応酬も凄まじい。各自、静と動の両極端で聴かせる演奏がなんとも魅力的ながら、とりわけ類家の柔らかでどこか官能的なトランペットの音色にも耳が奪われる。中盤、KenKenが4ビートテイストのベースラインも織り交ぜるジャジーなムードも面白い。11分を超えてSUGIZOのフィードバックノイズを合図に、「ANTI-WAR Ⅱ」の怒涛の大団円に向かうわけだが、インプロ主体とは思えない物語性を感じさせるアルバムに仕上がっており、様々な音楽性を擁しつつロック的なカタルシスも獲られるのが『THE PROTEST JAM』の魅力だ。

   表紙を飾ったPlayer SPECIAL July Issue -ニッポンのロックミュージシャン-のインタビューで、実は様々な編集やスタジオマジックで構築されている事実が明かされるも、ライブならではの容赦ないジャムサウンドの賜物である。この先のライブステージで想像もつかないようなかたちに発展していくだろうが、同時にこれだけの構築性でアルバムを組み上げられるのもSHAGならでは。近年NYシーンを筆頭にジャズ、インストシーンに新たな潮流が巻き起きているが、60〜70年代のあちこちで起きていたミステリアスなセッション感を、今の視点で取り戻して大胆クローズアップしたSHAGのアプローチは、ジャンルや国境を超えて新たなムーブメントを起こしていくはずだ。

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