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我が青春のロック映画 菊池ともかさんテキストお詫びと訂正

 5月27日に発売されたPlayer2022年4~6月合併号に掲載されている“我が青春のロック映画”特集では、およそ50人の音楽家に寄稿していただいております。その中の菊池ともかさんのテキストがこちらの手違いで全文掲載されておりませんでした。まことに申し訳ございません。この場にて菊池ともかさん、関係者の皆様、読者の皆様に深くお詫びするとともに、テキストの全文を下記に掲載します。(Player編集長 北村和孝)

「我が青春のロック映画」 菊池 ともか
作品名:GSワンダーランド(本田 隆一監督 2008年)

この映画が公開された2008年当時、私はちょうどハタチでしたが既にグループサウンズには興味を持っていて、その頃ギタリストとして所属していたバンドでも、オリジナル曲と併せてザ・ダイナマイツの「トンネル天国」やザ・タイガースの「シーサイド・バウンド」などをライブでカバーする日々を送っていました。

グループサウンズのコンピアルバムでお気に入りの曲を見つけるとその1曲ばかりを繰り返し聴いたり、ファズギターの強い音色に魅せられてフレーズを真似してみたり(ザ・モップスの「ベラよ急げ」のギターを初めて聴いた時は本当に痺れました)……しばしば目に触れる”熱狂”とか”失神”という蠱惑的な言葉にひそかな憧れを抱いては、妄想を膨らませたり。

そんな中で「GSワンダーランド」は後追いで60年代までさかのぼる形ではなく、自分がリアルタイムで味わえるグループサウンズ関係の作品として、スクリーンで観られることがなんだか新鮮で嬉しかったのを覚えています。

この映画で栗山千明さん演じる大野ミク(ミック)は歌手志望の女性でありながらGSバンド、ザ・タイツメンのメンバーとして、”女の子みたいな男の子”に扮した男装姿でデビューを飾ります。
それだけでも少女漫画のような設定でドキドキするのですが、フィクションの物語でありつつ、ザ・タイガースの元メンバーである岸部一徳さんがレコード会社の社長役を演じられていたり、60年代当時のヒット曲が劇中歌として流れたりと、現実のグループサウンズの世界とのつながりや雰囲気をあちこちに色濃く感じられるところも魅力。

橋本淳さん作詞・筒美京平さん作曲の主題歌「海岸線のホテル」を楽しく聴いているうちに、映画が終わる頃には ”もしかして、ザ・タイツメンはどこかに実在していたのかも”と夢見てしまいそうになるところでした。

洋楽ロックの影響を纏いつつも、どこか型破りで独特な熱っぽさ、非日常的な衣装も含め、ある意味何でもありの大らかさが、私にとってはグループサウンズについてもっと知りたい、また聴いてみたいとつい手をのばしてしまう理由だったのかもしれません。

グループサウンズのバンドや楽曲にあまり馴染みがない方にとってもコミカルで親しみやすい映画だと思いますので、そこから広がっていく不思議な境地に1度迷い込んでみてはいかがでしょうか?

 

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