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Part 2 SAITO GUITARS 〜Guitar Creators 新たなギターシーンの創造〜

ベテランのビルダーが多くの時間を費やして製作されるハンドメイド・ギターに憧れるギタリストは少なくない。しかし、そのイメージとは全く異なるコンセプトでデザイン、製作されたギターがユーザーの注目を集めている。
今回紹介する「SAITO GUITARS」は、コンピュータ制御のNCルーターのメリットを最大限に活用し、木部加工のほとんどを自動化、伝統に囚われない個性的でモダンなデザインや、ボディトップのみのユニークなカラーリングなど、これまでの概念を打ち破った新たなギター作りに挑戦している。木部加工を自動化する一方で、長年のリペア業務で培った経験を活かしたハンドワインディング・ピックアップの製作や、丁寧なセットアップに多くの時間を費やして完成した製品は、幅広い年齢層のユーザーの心を捕らえている。
高価になりがちな工房ブランドでありながら、高いコストパフォーマンスを実現することで多くのギタリストから信頼を勝ち取っているニューフェイス。
全3回に渡って話題の「SAITO GUITARS」の魅力に迫る「ギター・クリエーターズ」の第2弾。

歴史的な個体を再現するリスペクト・モデル

Portrait Line
No.1 Standard

Price:Open Price

新たに登場したポートレイトラインは、選ばれたヴィンテージ・ギターの個体を可能な限り蘇らせたリスペクト・モデル。写真はヴィンテージ・ギターの最高峰として知られる1958年製の歴史的なモデルにスポットを当てた製品。“バースト”には様々な特徴があり、ソリッドボディを鳴らすことで得られる豊かなトーン、PAFの名称で知られる極初期のハムバッキング・ピックアップ、ボディトップに使用されているフレイムメイプルが生み出す美しい外観、見事に削り出されたトップカーブ、チェリーサンバーストが経年変化したフェイデッドカラーといった具合に、プレイヤーからコレクターまでを魅了してきた。しかし経年変化も含めて、50年代のギターは個体差が大きい。写真のモデルは、実際に1958年製のギターを緻密に3Dスキャニングし、その形状をNCルーターを駆使してリアルに再現している。ヴィンテージ・ギターは、当初の狙いとは異なる部分を含めたものがトーンに反映されているため、それを再現することは極めて難しく、技術に加えてヴィンテージ・トーンに対する深い理解が不可欠となる。歴史的なサンバースト・モデルは、1958~60年にかけて生産されたが、ネックグリップは58年製の製品に最もファットなものが多い。また、フレットは1959年途中からワイドタイプへと変更されたが、写真の製品では年代に準じた細いものが使用されている。

このモデル用に特別に厳選されたメイプル材やマホガニー材を使用し、高い精度での加工技術によって、経年変化でセット角度が浅くなったネックやボディ厚の不均衡な様子までもがそのまま再現されている。また、ボディトップのメイプルに施されたサンバーストカラーの反射や広がり、チェリーカラーの退色ムラを作り出すために、パーツ類が取りつけられている下側や汗が染み込みやすい部分、普段はあまり目にすることのないコントロールキャビティの色合いなどを、場所ごとに変化させるといったマニアックなこだわりが満載されている。

長年蓄積されたヴィンテージ・トーンに関するノウハウを反映して作られたSledge 58と名づけられたエイジド仕様のハムバッキングピックアップは、使い込まれたギターの滑らかさと砕けた口当たりを備える。細部のこだわりは、ピックガードやハードウェア類のエイジド加工からギターに使われている様々な素材やサイズに及んでおり、それらが経年加工を加えたリアルな姿で再現されている。〈数量限定生産〉

トップは杢目の美しさとカーブの美しさが重なって見える

ヘッドのブランドロゴはこのシリーズ専用

 

Portrait Line No.2
Standard HH

Price:Open Price

ポートレートラインの第1弾として登場したスラブボディモデル。60年代前半の歴史的なギターを再現したモデルで、年代特有のスペックを再現すると同時に、あえてネックジョイント部分を強化する等、+αのアイデアが盛り込まれている。P90タイプと2H仕様の2種類がラインナップされ、カラーはCherry RedとPolaris Whiteの2色、カラーによりバインディングの仕上げなどのディティールが異なる。ぜひ実際の製品を手に取って欲しい。〈数量限定生産〉

 

Sシリーズ・ベース

S-420b

Price:Open Price

S-622の基本コンセプトをそのまま応用した4弦ベース。モデル名は4弦20F仕様からきている。オフセットウェストのボディトップ全体に緩やかなアーチ加工を施し、演奏性の向上と軽量化を実現。34インチスケール、20フレット仕様は、ジャンルを選ばず幅広いユーザー層にアピールする高い演奏性とポテンシャルを備える。ピックアップは工房内で丁寧に製作されるVantage Setを搭載し、音の立ち上がりと分離感に優れたサウンドに仕上がっている。

 

S-521b

Price:Open Price

ナチュラルな鳴りを大切にするSシリーズの5弦ベース。ギター以上に木材やパーツがサウンドに影響を与えるベースは、複雑な機能や仕様を排除し、良質でシンプルな仕様に徹することで素材の持つ高いクオリティとキャラクターを引き出している。最上級の木材と精度の高い金属パーツを採用し、ボディの豊かな鳴りをこのモデル専用に開発されたFive Vantage Setが余すところなくピックアップし、ナチュラルで力強い重低音として出力する。

 

Text by JUN SEKINO / MINORU TANAKA
Photo by TOMUJI OHTANI

 

Part 3 https://player.jp/2020/11/05/574/ へ続く…

 

Part 1はこちら

Part 1 SAITO GUITARS 〜Guitar Creators 新たなギターシーンの創造〜
ベテランのビルダーが多くの時間を費やして製作されるハンドメイド・ギターに憧れるギタリストは少なくない。しかし、そのイメージとは全く異なるコンセプトでデザイン、製作されたギターがユーザーの注目を集めている。 今回紹介する「SAITO GU...

 

「再修正版」PL2012表紙

Guitar Creators 新たなギターシーンの創造〜SAITO GUITARS〜の完全版はPlayer2020年12月号に掲載されています。Player直販の方は下記からどうぞ。

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