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ADAM at×TGMX( FRONTIER BACKYARD)対談 「ADAM atのサウンドは、ジャンルとしては良い意味で謎だよね(笑)。」

先月、ニューアルバム『OUTLAST』をリリースしたばかりのADAM at。“ピアノ・インスト界の風雲児”とも呼ばれる彼と、そのアルバムに収録の「22時 feat. FRONTIER BACKYARD」でコラボレーションを果たしたTGMX( FRONTIER BACKYARD)の対談を「Player SPECIAL July Issue -ニッポンのクロスオーバー-」に掲載しています。ADAM atを“玉ちゃん”、TGMXのことを“田上さん”と呼びながら、2人の楽しそうな姿を撮り下ろした写真と併せ同誌もお読みいただきつつ、掲載しきれなかったお話をこちらでお楽しみください!

TGMX:住んでる場所も東京じゃないしそんなに回数は会ってないけど会う時は濃厚な、それこそ濃厚接触で(笑)。
ADAM at:こちらとしては恐縮で光栄でしかないです。FRONTIER BACKYARD(以下FBY)も新しいアルバムが出ますけど、田上さんはジャズみたいな要素もすごくでかいと思うんです、その中にちゃんと田上節が入ってる。初期FBY・中期FBYと来て今、ジャンル的にはだいぶ変わって来ているけど、でもやっぱり、“FBY”で。そこに感動したんですよね。
TGMX:でも、自分の声も嫌で歌い方とかも変えたい、俺のやりたい音楽は俺の声じゃ無理だなと思うところもあって。そこでインストを考えると、夢が広がるよねと思ってるところもある。インストバンドをやっている人からするとボーカルの強さとかを考えると思うんだけど、逆にボーカルって1個しか音を出せないから、俺の声が(楽曲を)限定させてしまってるって思ったりして、そこに悩んでる。今、売れているバンドも優しい綺麗な声の人が多いじゃない、(比べると)俺とかは全然ダメだなぁと思ったりして。
ADAM at:いやいや、田上さんの声はオンリーワンです!
TGMX:そう言ってくれる玉ちゃんだったり聴いてくれる人がいるけど自分では、ね。それでオートチューンやエフェクターをかけたり歌い方を変えたり、ってやってるんだけどね。でも変われないところもあるんだなと思ったし、自分をちゃんと持ってやった方が良いよね。
 自分をちゃんと持ってやる、って良い言葉です。
ADAM at:田上さんは本当に音楽が好きでインプットされていて、好きでアウトプットされているというのがメッチャわかります。新しいことにチャレンジとかいうよりも、好きな音楽をやった、という感じがするんですよね。
TGMX:チャレンジしてます、っていう感じはないかもしれない。好きな音楽をそのままやっているかなぁ。最近はYouTubeが好きになっちゃって、MVを見てるのが楽しくて。それでヒップホップに行っちゃったんだよね、ヒップホップのMVって面白いんだよ、目出し帽でマシンガン持ってたりとか(笑)。ちょこちょこ昔から聞いてはいたけど、カルチャーとしてハンパないな、パンチラインがあるなと。
ADAM at:決して恵まれた環境の中で作ってない、っていうのもデカいような気はしますね。
TGMX:そう、工夫するんだろうね。元々サンプリングとかスクラッチもそういうところだろうしね。
 誌面の方で触れていますが、車の中でレコーディングされたというのもある意味…。
ADAM at:ヒップホップですよね。FBYの新譜を聴いて、田上さんにプロデュースをお願いしたらどうなるんだろう、って思いました。正直、田上さんにプロデュースをしてもらいたいっていう気持ちはずっとあって。
TGMX:玉ちゃんは営業トークも上手なのよ!
ADAM at:私もビクターの担当も、長い物には巻かれるタイプで(笑)。
TGMX:俺だって玉ちゃんに巻かれたいよ(一同笑)。
ADAM at:するする〜っと巻き込んでほしい!

「Player SPECIAL July Issue -ニッポンのクロスオーバー」にスペシャル対談掲載!

 2人の会話のテンポが軽快でこれを音声で届けられたらどれほど楽しく聞いてもらえるだろう、と思います(笑)。まずは今回の楽曲のコラボから、今後も膨らんでいくのを期待してます。
TGMX:今後も俺たちはミュージシャンでいたいと思うから、そうすれば何かっていうのは続いていくからね。物語として、あると思う。俺たちはボーカルとドラムとして今回、誘ってもらってADAM atの素晴らしいデモを聞いて(FBYドラム・福田”TDC”忠章と)2人して、スゲー良い曲だよな!って。俺たちどこまでやるんだろう、何なら全部やれることはやりたくなっちゃう、って。でもこれはあくまでADAM atの作品だからやっぱり玉ちゃんのカラーを出した方が良いし、というところで出来た感じだね。だからボーカルに関しては、玉ちゃんから指示してっていう風に話をして。
ADAM at:でももし仮に何かあったとしても、実際に指示なんか出来ないですよね。根底はバンド大好き、縦社会大好きなキッズなんで(一同笑)、はい。後輩よりも先輩が好き、みたいなところがあるんですよね。
TGMX:玉ちゃんのこの独特な、スルッと入ってくる感じね。ヘビみたいに。
ADAM at:実はヘビ年なんですよ(一同笑)!
TGMX:玉ちゃんは本当、この人となりが全てですよ。サウンドも大好きだけど、とにかく人となりがポップで良い!ただ、ADAM atのサウンドは、ジャンルとしては良い意味で謎だよね(笑)。
ADAM at:よく言いますよ!
TGMX:俺たちも謎だけど(笑)、ピアノを中心としたミクスチャーなんだよなぁと思って。ライブを見ると余計、謎で。モッシュしてるぜ!?みたいな。ピアノインストであんなに踊り狂ってる状態を作れるっていうのは結構、稀有だなっていう。鍵盤を叩くことであんな空気を作れるんだ、って。
ADAM at:和製フィッシュボーンの田上さんにそう言ってもらえるのはすごく嬉しいことですね、でも田上さんもバンドシーンで言ったら先駆者だと思ってますよ。ミクスチャー風ジャンルというのは結構あったと思うんですけど、ちゃんと楽器を取り入れて、新しいものに対してアンテナをちゃんと張っているミクスチャーで、二番煎じでは決してない、という。そんな方に我々の音源に参加していただいて…
TGMX:でも玉ちゃんはパイオニアだと思うよ、俺は。それでいて、そんなに難しく聞こえない音を作ってるところがすごいんだよ。
ADAM at:個人的にピアノの音だけって飽きちゃうんですよ、ジャズバーでのピアノだけを聞くとか。だからギターやベースソロとかは常に入れたくなっちゃうんですよね、出ないとピアノが映えない、一番聴かせたいところが映えない。それを当て込んでいくと楽曲の構成がこうなっていく、という感じがしますね。ピアノの音がなくならないと、ピアノの音が入ってきた時に有難がられないと言いますか(笑)。
 モッシュ、といったワードも出ましたけどADAM atのアルバム表題曲「OUTLAST」などはモッシュが今、まだライブで出来なくても手拍子だけでメチャクチャ盛り上がってテンション上がる!っていう曲で最高ですよね!
ADAM at:嬉しいです、何より気兼ねなくライブが出来るようになるのが一番良いんですけどね。

【対談後記(敬称略)】
ちょうど7月6日に最新アルバム『million feelings』がリリースになったFRONTIER BACKYARD。そのフロントマン・TGMXには岩手県で開催されるKESEN ROCK FESTIVALでゆるキャラたちと一緒にダンスしたり(!)毎年お世話になっていました。ここ数年は全くお会いできずでしたが、キーボードを抱え笑顔で大きく手を振りながら待ち合わせ場所に現れたTGMXは今までと変わらず。楽しい対談になりそうだなと思いながら向かったのですが、待ち構えておられたADAM atはこれまでの印象とはちょっと違い…それは対談が進むにつれ分かり対談内でも話が及んでいますが、ADAM atは本当に根っからのバンドマンであり、先輩に対してのリスペクトの思いが態度にも表れておられたのだなと。これまで実はわたし的には知らなかったADAM at像を見られたこともとても良き機会でした。が、時が進むにつれ会話は弾みまくり“このまま音声で(対談を)アップできないの?玉ちゃんのいい感じの喋り方とかさ、文字だとなかなか伝わんないかなと思っちゃう”とTGMXが仰るや、“そんなことしたら、骨も残らないぐらい大炎上しますよ!”のADAM atの返しに一同大爆笑。両者が発する会話は実に楽しく面白く、この対談の更なる続きを何らかの形で出来たら良いなと思っていたら、お2人が出会ったライブハウスで8月26日(金)にイベントが!対談の雰囲気以上の楽しさが絶対にある時間だと思いますので、これは本当に皆さま、是非に集合です!!(高橋ちえ)

ADAM at『OUTLAST』
ビクターエンタテインメント 6月15日
初回限定盤CD+DVD VIZL-2061 3,850円(税込)
通常盤CD VICL-65702 2,750円(税込)

 

FRONTIER BACKYARD『Million feeling』
Niw! 7月6日
CD NIW157 3,300円(税込)

 

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