楽器の練習に最適なワイヤレス・ヘッドホンとして登場したVOX VH-Q1。“サイレント・セッション・スタジオ”というコンセプトに基づいた、楽器の練習/演奏、ボーカル・トレーニングでのモニタリングで威力を発揮するヘッドホンである。
今回はアコースティック・ギターからエレクトリック、更にはベースやマンドリン、ペダルスティール・ギターまで自在に弾きこなし、あらゆるスタイルの音楽制作に精通する音楽人間、小倉博和。楽器や音作りに対する妥協を許さないシビアな視線は、多方面から高く評価されている。そんな職人ギタリストにVH-Q1を試してもらった。拘りを愛する音楽人間が、VH-Q1の真価を語る。
「ノイズをキャンセルしながら、自分が弾いているアコギの音はちゃんと聴こえる…」
ーVOX VH-Q1を試していただきましたが、この外観を見て小倉さんはグッときたのではないですか?(笑)
きましたね〜(笑)。VOXブランドということで、AC-30とかのVOXアンプを彷彿とさせるデザインを取り入れていますからね。サランネットのダイアモンドパターンをイヤーカップのスピーカーカバーに採用していて、なかなか洒落が効いています。「おぉ〜、VOXじゃん!」っていう感じ(笑)。VOXアンプは、我々にとってはアイコン的な存在ですからね。これは琴線に触れました(笑)。ギタリストならみんなそう思うでしょ。こういう遊び心が良いですね。
ー確かにグッと来ます(笑)。
この製品の機能を色々と試してみたんですが、これまでには無い新しいスタイルのヘッドホンですね。とにかく機能が充実していて、ちょっとAIみたいなところもある。アクティヴとパッシヴ両方の回路で操作できるのも面白いですね。
ーアクティヴとパッシヴでは、サウンドが異なりますか?
パッシヴの時は一般的なヘッドホンと同じような使い方で、音はややナローな印象ですね。耳に優しいと言うか、中高音域があまり強く出ていなくて優しい音です。電源をオンにするとプリアンプが作動してアクティヴ状態になり、もっと元気がある音というか、張りがあってアクティヴらしい倍音も出てきます。また、本体に付いているボリュームを下げていったときに、全体の音のバランスが聴感上崩れないように、EQが自動的に働いているような印象で、小さい音でも大きな音でもバランス良く綺麗に聴こえます。ヘッドホンって、音量を下げていくと下が聴こえなくなってアンバランスになるんだけど、VH-Q1は音量に関係なくバランスが良いから使いやすいです。
ーなるほど。他の機能に関しては?
本体にマイクが搭載されているので、色々なことができますね。マイクをオンにすると周囲の音がラインで送られてくる音にミックスされて聴こえるんだけど、この機能は使えますよ。例えば、レコーディングされているトラックに合わせてアコースティック・ギターを弾くときとかね。ヘッドホンをしていると自分が弾いているギターがよく聴こえないんだけど、VH-Q1はマイクが付いているのでそれをオンにすれば、ラインのサウンドに自分の弾いているギターの音がミックスされてくるから良いよね。しかもマイクの音量はもちろんだけど、マイクの特性も選べるというのはよくできてる。しかも、その切り替えの時に女性の声でどんなギター用の特性に変わったのかをアナウンスしてくれるというね(笑)。これは画期的というか、実に面白い発想ですね。これまでに無い考え方だと思う。
ー周囲の状況も確認できるのは便利ですね。
そういえば。最近イヤホンをして音楽を聴きながら自転車を漕いで、車に気がつかないでトラブルに遭うケースがあるみたいだけど、このVH-Q1なら大丈夫だね(笑)。僕はステージでイヤモニを使うことが多いんだけど、イヤモニを付けると周囲の音が全然聴こえないんですよ。だからこういう機能が付いているとありがたいね。こういう新しい機能があると、使う側の我々もまた新しい発想が生まれるしね。
ーなるほど。ではノイズキャンセルに関してはいかがですか?
これもなかなか優れていますね。ノイズキャンセルをオンにしても、ラインから来る音はほとんど変わりません。しかも、ノイズをキャンセルした状態でもマイクをオンにできるので、便利ですよ。ノイズはキャンセルしながら、自分が弾いているアコギの音がちゃんと聴こえる、というのは良いよ。部屋だとエアコンの「サー」っていうノイズも消せるから、ギタリストやベーシストは自分の演奏に集中できるし。
ー確かにね。
そうそう、ヘッドホンのコードを右側と左側のどっちのカップにも繋げるというのは、実に面白い発想だね。すごく単純なことなんだけど、こういうのってこれまでに無かったでしょ。でもこれは便利ですよ。普通はどちらか片方だけど、それだとコードが邪魔になる時があるんですよ。だいたいのヘッドホンは左側のカップにコードが付いているけど、それだとギタリストの場合コードがネックに引っ掛かりやすいんだよね。だから僕はいつもコードは自分の後ろを通しているんですね。まあ、時にはヘッドホンの右と左をひっくり返して使ったりもするけど(笑)。あとスタジオだと、コードを差し込む端子が自分のどっちの側にあるのか、という問題もあるでしょ。VH-Q1は自分が都合の良い方を選べるから便利だよ。こういうの見たこと無いもん(笑)。これは楽器を開発しているメーカーならではの発想かもしれないね。
ーなるほど。では装着感とか使用感に関してはいかがですか?
フィット感は良いですよ。肌触りも悪くないです。ヘッドホンはやはり身体に付けるものだから、その辺は大切ですね。
ー小倉さんは、日頃どんなヘッドホンを使用されていますか?
普段の作業はAKGのK-77です。レコーディングの現場だとソニーやビクターが多いですね。
ーそのAKGと比べてVOXはいかがですか?
AKGはパッシヴなので、アクティヴのVH-Q1とはやはりキャラクターが違いますね。アクティヴの方が、音が華やかというか艶やかな感じです。
ー切り替える時に女性のアナウンスが入るという機能も面白いですね。
ああ、これも面白い発想だね。すごく分かりやすいですね。いちいち外してLEDを確認する必要が無いから。もうこうなるとAIみたいだね(笑)。細かい操作も暫く使えばスイッチの位置とかも手が覚えるだろうから、どんどん使いやすくなると思います。
ーところで小倉さん、しばらくぶりに山弦としてレコーディングをされているとか…。
そうなんですよ。まだアルバムの発売は少し先なんですけど、なんとか夏前にはリリースしたいですね。ここ暫くはお互いに忙しくてなかなかタイミングが合わなかったんですが、久しぶりに山弦としてアルバムをお届けできると思いますので、ぜひ楽しみにしていて下さい。
(※本記事は月刊Player 2021年6月号からの転載です。)
小倉博和 Hirokazu Ogura Official https://www.facebook.com/HirokazuOguraOfficial
VOX VH-Q1製品ページ https://voxamps.com/ja/product/vh-q1/
製品のお問い合わせ先:株式会社コルグお客様相談窓口
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