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Impression of PRS 2021 New Products / TAKUMIがPRS最新モデルをチェック

TAKUMI (Photo by TOMUJI OHTANI)

10代でメジャー・デビューを果たし、SUGIZO、MIYAVI、T.M.Revolution、土屋アンナなどのライヴ/レコーディングから、作曲/アレンジャーとしても多数のアーティストをサポートしてきたTAKUMI。近年はGACKTのサウンドプロデューサーやバンマス、さらにはプロダクションの代表を務めるなど、さらにマルチな方面で活躍している。ここからは長年に渡ってPRSを愛用してきたTAKUMIに、2021年の最新モデルのStudio、Special Semi-Hollow、Fioreを試してもらった。

PRSのギターってまだ進化するんだ!?

ー現在、メインで使用しているPRSのギターは?

TAKUMI:持っているのは12本ぐらいで、その中でもCustom 24とPaul’s Guitar、Custom 24をベースにしたプライベートストックが一番使いやすい3本で、レコーディングでも使っていますね。最近では、Dragon2005のダブルネックを手に入れたり、新しいプライベートストックも発注していて秋には完成予定です。

ーGACKTさんと一緒に活動するようになって、Custom 24の登場頻度が高くなったのですか?

TAKUMI:そういうわけではなく、GACKTさんとの前に様々なアーティストのサポートをやっていた時に、「PRSの音は歌の邪魔をしなくてすごくいい」っていうことをよく言われていました。ソロ・プレイで前に出る楽器なのに、ボーカリストの邪魔をしないことってギタリストにとってはすごく重要な部分で、そういう音作りが出来る。あと、ツアーだとかなり激しくプレイしたりするんですけど、耐久性が良く、常に状態が良い。1~2ヶ月のツアーだったら余裕で保ってくれるので、すごくタフなギターですね。

ーPRSはチューニングの精度の高さも気に入っているそうですが?

TAKUMI:チューニングというかヴォイシングがすごい丁寧に作られていて弾きやすいですね。例えば、GACKTさんは元々クラシックをやっていた人なので、とてもピッチに細かくて、本当に1ヘルツの違いも指摘されるんですよ。「この曲は443Hzで歌うから、ピアノは442Hz、ギターは441Hzにしておいてくれ」とか(笑)。 そういうアンサンブルを考える人なので、その面でもPRSはピッチが安定してるので良いですね。あと、エフェクトの載りが良いので、ロックサウンドにもとても向いていて、僕らの世代がPRSを使い始めた頃って、リンプ・ビズキットとかインキュバス、同世代だとRIZEのJESSEやDragon Ashの降谷さんとか、ラウド・ロックの象徴的な感じで使われていましたね。僕は22歳ぐらいの時に初めてPRSのキルトトップのCustom 22を買って、当時はディーゼルと組み合わせてかなりハードな音を出してました。それからR&Bやポップス、ロックなど色んなジャンルのサポートもやるようになったんですけど、PRSは本当に1本で何でも対応できるので、とても使い勝手が良かったですね。

ーでは、本日弾いていただいた最新ギターから、まずはStudioはいかがでしたか?

Studio

TAKUMI:リファレンス用に持ってきた僕のプライベートストックより全然出力が高くて、ものすごく“パキッ”とした音が出る。出力が高い分、ボリュームを絞った音もけっこう幅広く出て、リアはうるさ過ぎないし、フロントもこもり過ぎないし、とても良い調整がされていると思いました。意外とマストバイになりそうな印象でしたね。ステージでもレコーディングでもどっちでもいけるっていうか、多分音抜けが相当良いんだろうな。実は試奏した中では一番のダークホースでしたね。やっぱりPRSってCustom 24のイメージが強いけど、それに代わるぐらい良くて衝撃的でしたね。初心者でも、プレイが上手く聴こえるギターだと思いますよ(笑)。

ーStudioとSpecial Semi-Hollowに搭載されているNarrowfieldは、元々2010年に発表されたピックアップですが、改めて弾いた印象は?

TAKUMI:登場した当時は正直あまり印象に残っていなかったんですが、今回はピッキングの細かいニュアンスも拾ってくれるし、やっぱり進化しているには理由があるんだなっていう音の載り方でしたね。トーンのキャラクターもシングルコイルのようなニュアンスの出やすさが本当に良い具合を突いていて、弦の鳴りがしっかりと伝わるイメージだと思いました。アクティヴな音はするんですけど、抜けが良いので幅広い音が作れそうな印象でしたね。

ーStudioのリア・ピックアップの58/15LTと、TAKUMIさんのプライベートストックの59/09とでは、何か違いは感じましたか?

TAKUMI:キャラクターは全然違いますね。言い方がすごい難しいんですけど、“バキッ”として音が前面に出るんですけど、角があり過ぎないと言うか。僕がPRSを色々と使ってみて落ち着いたのが、ヴィンテージ風の59/09なんです。あと、僕が持っているP22も、それほど出力が高くなくて綺麗な音で弾きやすいんですけど、それより全然進化していて、とにかく輪郭がはっきり出る。ギターのニュアンスの細かいところまでちゃんと拾い上げてくれる感じでしたね。“最新のギター”っていうイメージで、見た目はあまり変わらないですけど、かなり進化してますね。

ー続いて、Special Semi-Hollowは?

Special Semi-Hollow

TAKUMI:まず、ルックスが大好きです(笑)。以前、ジョン・メイヤーが使っていたSemi-HollowのSuper Eagleは今でも欲しいギターの一本なので、そのイメージと重なりました。Special Semi-Hollowは、Semiとは言いつつも、ちゃんとホロウ感があるんですよね。僕が持っているフルホロウのHollow Body IIほど胴鳴り感はないんだけど、上手い具合に箱鳴りしてるイメージです。Studioを弾いた後だったからかも知れないですけど、出力は高くないけど、ものすごくバランスの取れた繊細な音で、僕の中では“ラグジュアリーな美しい音”ってイメージですね。ジョン・メイヤーのような音楽にめちゃくちゃ合いそうだなって思いながら弾いてました。Special Semi-Hollowは“大人のギター”ですね。

ーこのSpecial Semi-Hollowと、今回の試奏には間に合わなかったのですが、最新モデルのCustom 24-08にもコイルタップが搭載されています。現代の音楽シーンではコイルタップの必要性が高まっているのでしょうか?

TAKUMI:僕はあまり使わない方なんですけど、サウンド・バリエーションが求められる楽曲だったり、幅広い音が出るという面ではとても良いと思うんです。僕の場合、ギター自体を変えるタイプなんですけど、PRSって高価ですし、何本も持つよりは、1本の好きなギターで色んな音を作れた方が絶対マルチに使えますし。PRSの良いところって、シングルコイルっぽいけど、PRSらしい音にも変換できたりとか、マルチで使えるところが現代のギターっぽいと思いますね。

ーある意味、ジョン・メイヤーのSilver Skyのバリエーション・モデル的なFioreはいかがでしたか?

Fiore

TAKUMI:僕もSilver Skyは持っていて、ヴィンテージ・ライクなんですけど、すごく綺麗に音が出ますし、とても現代的なギターなんだろうなって思っています。PRSってシングルコイルが得意なブランドっていうイメージはなかったんですけど、事前にFioreのデモ動画を見たら、めっちゃくちゃ音が良かったのでとても楽しみだったんです。マーク・レッティエリっていうギタリストはそれまで知らなかったんですけど、カッティングとかも気持ち良いし、これはまたすごいギターを作ったなって思います。ああいう素晴らしいギタリストとコラボすると、また違うスタイルのギターが生まれますし、ジョン・メイヤーだとメロウな感じとかコードの綺麗さ、ブルージーな弦鳴りも出さなくちゃいけないし、けっこう難しい要求があったと思うんです。マーク・レッティエリはまたスタイルが違うけど、やっぱりシングルコイルの音が必要な音楽性だけど、どちらも一貫しているのは、フロントもリアもソロを弾いた時のピッキング・ニュアンスの拾い方がやっぱりPRSらしくて、そこが独特なんだと思います。弦の引っ掛かりとかも全部拾ってニュアンスを出せるギターって他にあまりなくて、PRSを弾いてると独特のサステインとかをやっぱり感じるんです。僕はヴィンテージのテレキャスターを持っているんですけど、PRSはテレキャスターみたいなカッティングも出来つつ、ソロでは粘り気のあるニュアンスで弾けるので、シングルコイルとはいえやっぱりPRSらしさが出るんですよね。Fioreも音の線が細いかなって一瞬思っても、ディストーションを掛けるとしっかり腰のある音が出る。PRSも今まで色々なギターを作ってきて、僕の中では「これはちょっと違うかな」っていうものもあったりしたんですけど、そういうことを経てどんどん改良されていくので、このシングルコイルに関してはPRSの技術の結晶なのかなって思いますね。

ーTAKUMIさんは経営者としても、GACKTさんのチームをまとめる立場になっていますが、PRSを一大ギター・ブランドへと成長させたポール・リード・スミスとは何か共感するところはあるのではないでしょうか?

TAKUMI:それはありますね。ひとつのビッグ・ネームがあってチームが大きくなって、PRSというブランドが成り立っているんですけど、やっぱりひとつのチームでどこのセクションが欠けてもダメなんです。それは各セクションのひと達が本当に切磋琢磨している結晶なんだろうなって思います。そうしないと、何十年も続いて、しかもギブソンやフェンダーと肩を並べるブランドには絶対にならないですよね。それには必ず理由があるんだと思います。僕も表舞台と裏方をやって初めて見えるものがあったりして、経営側に立つとミュージシャンの扱い方とかもひとつひとつ変わりますし、リスペクトもすごく増える。自分が全部のセクションを把握すると、こうやって成り立っているんだっていうことが分かるようになりました。僕ももう40歳なんですけど、ひとつの目標だったプライベートストックを手に入れることも出来るようになって、この先は下の世代に良いものを継承していきたいと思いますね。

Photo by TOMUJI OHTANI

ー最後に、今回3本の最新モデルを弾いて、改めてPRSにどんな魅力を感じましたか?

TAKUMI:最初にStudioを弾いた時に、「PRSのギターってまだ進化するんだ!?」ということを強く感じましたね。あと、僕は耐久性も気になるので、実際に自分がずっと使っていく間にどういう変化があるかとか。やっぱりワインもヴィンテージだけどただ古いだけじゃダメだし、そのクオリティをずっとキープ出来るからすごいギターになると思うんです。PRSはそういう意味でもずっとクオリティを保てる楽器だと思いますし、企業がしっかりしているからメンテナンスも万全であることが、僕の中ではすごい重要なんです。PRSってマニアも多いし、リペア工房のスタッフの方もPRSのことを把握しているし、国内でもメンテナンスがしっかりしているので、そういうところはすごく重要だと思いますね。あとは、進化したNaroowfieldの音を聴いて、本当に音載りが良くて衝撃でした。

Interview by TOSHIHIRO KAKUTA Hair & Make Up by TOMOYA

(※本記事は月刊Player 2021年8月号からの転載です。)

製品の問い合わせ:ポール・リード・スミス・ギターズ・ジャパン
https://www.prsguitars.jp

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